カテゴリー「破産・再生」の記事

2015年3月22日 (日)

人生の転機

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「先生、以前お世話になったウチの従業員のことなんですが、今日、本人から退職願が出てきました。これは、彼女の破産のことと関係があるのですか?」

 夏も終わりに差し掛かった頃、ある会社の総務部長から彼女の進退について問い合わせを受けたものの、私には彼女の退職については何の心当たりも浮かばなかった。

 そういえば、あらから5年が経とうとしている。彼女の自己破産の申立を受託し、彼女は破産決定を経て、既に免責許可を受けている。

 1年ほどかけて全ての手続が終了し、サラ金の借金は全て支払義務のないものとなったのだ。彼女は上場企業に勤務していたが、私は、別の仕事の関係で、たまたまその企業の総務部長を存じ上げていたのだった。

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2015年3月14日 (土)

雨のち晴れ

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 彼は、彼女と結婚する前には、精神科に入院していた時に知り合った女性と同棲生活を送っていた。
 短い期間ではあったが、幸せな日々を暮らしていたと言う。
 しかし、精神的に不安定だった彼女は、銭湯の帰りに突然私鉄の線路に飛び込み、それを助けようとした彼は右足膝下を切断するという大怪我を負ってしまった。
 幸い彼女は鎖骨骨折だけで助かったが、彼の短い青春はそれで終焉を迎えた。

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2015年3月 4日 (水)

住宅の任意売却がなかなか進まない理由

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住宅ローンを2カ月ほど延滞している人から相談を受けた、
今後も住宅ローンを払っていくことは難しいので自宅を売却しようと考え不動産業者に相談したところ、「借金が多すぎて売れない」と言われたとのこと。借金が多いと売れないのか、という相談。

売却しようとしている住宅には、住宅ローンについて抵当権という権利が登記されている。抵当権は、万が一、住宅ローンの返済ができなくなってしまった場合、住宅を競売してその代金から優先的に住宅ローンの返済を受ける権利である。

 したがって、抵当権の登記を抹消しなければ買主は安心してその住宅を購入することができない。また、   金融機関は、通常、住宅ローンの残金全額の支払いを受けなければ抵当権を抹消してくれない。

 相談のケースは、住宅を売却しても、その売却代金で住宅ローンの残金を完済できる見込みがないために「借金が多すぎて売れない」と言っているのだと思われる。

   しかし、売却代金は住宅ローンの返済の一部に当てるとしても、残った住宅ローンの返済が見込めないと金融機関が判断した場合には、抵当権の抹消に応じることがある。例えば、債務者が破産の申立てをした場合や、弁護士や司法書士に破産申立て等の手続きを依頼した場合などである。

 したがって、住宅ローン債務の処理に精通した弁護士や司法書士に相談し、住宅売却と売却しても残ってしまう債務について適切に処理をするのがよいと思われる。

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2014年9月10日 (水)

否認権の対象となる行為 ~詐害行為否認(法160条1項)~

 破産者を害する行為として、次のものが規定されている。

(1)財産減少行為(担保の供与または債務の消滅に関する行為を除く) (法160条1項)

  具体的には、次の行為である。
① 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為(法160条1項1号)。
 ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
 このように、破産者の主観的な詐害意思が必要となるため、「故意否認」とも呼ばれている。
 善意の立証責任は利益を受けた者にある。
 たとえば、既に借受金について期限の利益を喪失して一括弁済を求められていたり、主債務者が破産申立をして保証債務の履行を求められている保証人が、その直後に財産減少行為に値する贈与を行っていた場合、破産管財人は、破産者が破産債権者を害することを知っていたことについて、当該贈与を否認する場合には、贈与時に既に期限の利益を喪失していたり、主債務者が破産申立てをしていたという客観的な状況を主張立証するものと考えられる。
 一方、受益者は、破産債権者を害する事実を知らなかったことを主張立証する必要があるが、受益者が破産者の親族であったり、商取引上の親密な関係にある場合は、善意の立証に困難を伴うと想像される。
 なお、本号の行為については支払停止の時期の前後を問わない(同号ただし書。なお、法176条の制限がある)。
 「支払の停止」とは、債務者が資力欠乏のため債務の支払いをすることができないと考えてその旨を明示的または黙示的に外部に表示する行為をいうものと解されている。
 債務者が債務整理の方法等について債務者から相談を受けた弁護士との間で破産申立ての方針を決めただけでは、他に特段の事情のない限り、いまだ内部的に支払停止の方針を決めたにとどまり、債務の支払いをすることができない旨を外部に表示する行為をしたとすることはできないものというべきである(最判昭和60年2月14日(集民144号109頁、判時1149号159頁、判タ553号150頁))。
 店舗を閉鎖して退去した行為(東京高判昭和36年6月30日(判時272号19頁))、退職金をもって債務整理をする意図で退職願いを提出する行為(大阪高判昭和57年7月27日(判タ487号166頁))、債務者の代理人である弁護士が債権者一般に対して債務整理開始通知を送付した行為(最判平成24年10月19日(集民241号199頁、判時2169号9頁))はいずれも「支払の停止」と認定されている。

② 破産者が支払いの停止または破産手続開始の申立てがあった後にした破産債権者を害する行為(同項2号)。
 ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払いの停止等があったことおよび破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない(同号ただし書)。

 善意の立証責任は利益を受けた者にある。  このように、「支払の停止又は破産手続開始の申立てがあった」後は、破産者が債権者を害することにつき善意であることは考えられないため、破産者の詐害意思の要件を不要としている。

 ところで、破産法160条1項柱書では、同項で定める上記①、②の詐害行為否認の対象となる行為から「担保の供与又は債務の消滅に関する行為」を除外し、これらの行為は原則として偏頗行為(法162条)の対象としている。しかしながら、「担保の供与又は債務の消滅に関する行為」は破産法160条2項、3項から除外されていないと読むべきである。したがって、2項では債務消滅行為をして行われた過大な代物弁済を詐害行為否認の対象とし、3項では無償行為の否認の対象として担保提供もその範疇に含めていると解される。

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2014年9月 1日 (月)

否認権行使の様態

 否認権とは、破産手続開始より前に、破産者が不当に財産を減少させるなどの破産債権者を害する行為を行っていたり、破産債権者間の公平を害する行為を行っていた場合に、破産管財人がその行為の効力を否定し、破産財団の回復を図るために認められた破産管財人の権利である。

 否認権は、訴え、否認の請求又は抗弁によって、破産管財人が行使する(法173条1項)。 破産管財人が否認該当行為を発見した場合には、まず、受益者または転得者に財産の返還等を求めて交渉するのが通例であると思われるが、それによっても破産財団の回復をすることができない場合には、否認権の行使をすることとなる。

 否認権の行使の様態には次の3つがある。

(1)訴え
 訴えによる否認権の行使は、破産管財人を原告、受益者または転得者を被告として提起される。この管轄裁判所は破産裁判所である(法173条2項)。

(2)否認の請求
 訴えよりも簡易な手続による否認権行使の方法として、否認の請求を申し立てる方法を認めている(法174条、175条)。 否認の請求をするときは、破産管財人は、その原因となる事実を疎明しなければならない(法174条1項)。 否認の請求を認容し、またはこれを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならず、この場合、裁判所は、相手方又は転得者を審尋しなければならない(法174条2項、3項)。  否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる(法175条1項)。 このため、異議の訴えの提起が予想されるほど相手方が争っている場合には、否認の請求ではなくて、否認の訴えを提起すべきである、と言われている。

(3)抗弁
 否認権の行使は抗弁によってもすることができる(法173条1項)。たとえば、破産手続開始前に破産者が不動産を売却したが買受人に引き渡しをしなかったような場合において、その後、破産手続開始決定があり、買受人が、破産管財人を被告として不動産の引き渡しを請求してきたときに、破産管財人が売買契約の否認を抗弁として主張するような場合が考えられる。

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2014年8月29日 (金)

取戻権の行使なのか、別除権の行使なのか

 破産手続開始のときにおいて破産財団に属する財産について、所有権留保売買の売主が所有物の返還を求めたり、譲渡担保権者が担保物の引き渡しを求める根拠は、取戻権の行使なのか、または、別除権の行使なのだろうか。
 札幌高決昭和61年3月26日は、「本件所有権留保ないし本件譲渡担保の実質的な目的は、あくまでも本件立替委託契約とこれによる本件弁済に基づく抗告人の求償債権を担保することにあり、いずれにしても本件自動車の所有権の抗告人に対する移転は確定的なものではないと解される。そうすると、抗告人としては、本件留保所有権ないし本件譲渡担保権に基づく別除権者として権利行使をなすべきであつて、本件自動車に対する所有権を主張してその引渡を求める取戻権は有しないものというべきである」と、別除権者としての権利行使をなすべきであって、所有権を主張してその引渡しを求めることはできないとして、この問題を決着させている。
 以上のように、所有権留保売買についても実質的な目的が担保目的であれば別除権として扱うことになる。もっとも、これは、目的物の所有権移転とその代金支払いの対価性、牽連性が考慮されたものである。
 したがって、被担保債権の範囲を別個の契約から発生した債権にまで拡大した特約については公序良俗に反するとしている(東京地判平成16年4月13日(金法1727号108頁))。

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2014年7月27日 (日)

秋田県司法書士会研修会

26日、秋田県司法書士会の研修会に行ってきた。テーマは『破産を極める』。1時間×3本の講義で、声を嗄らすことなく無事に終わった。主催者発表によると、参加者は55名。

Photo秋田市では、8月3日から竿燈祭りが行われるそうだ。秋田市竿燈まつり実行委員会公式ウェブサイトhttp://www.kantou.gr.jp/index.htmによると、「竿燈まつりは、真夏の病魔や邪気を払う、ねぶり流し行事として宝暦年間にはその原型となるものが出来ていたという。現在残っているもっとも古い文献は、寛政元年(1789)津村淙庵の紀行文「雪の降る道」で、陰暦の7月6日に行われたねぶりながしが紹介されている。このときにはすでに秋田独自の風俗として伝えられており、長い竿を十文字に構え、それに灯火を数多く付けて、太鼓を打ちながら町を練り歩き、その灯火は二丁、三丁にも及ぶ、といった竿燈の原型が記されている。元々、藩政以前から秋田市周辺に伝えられているねぶり流しは、笹竹や合歓木に願い事を書いた短冊を飾り町を練り歩き、最後に川に流すものであった。それが、宝暦年間の蝋燭の普及、お盆に門前に掲げた高灯籠などが組み合わされて独自の行事に発展したものと言われている」そうだ。

 研修会が終わって一次会から二次会へ移動する途中、お祭りの練習をしている場面に出会ったので、記念に1枚!

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2014年7月23日 (水)

週末は秋田出張です

週末は、秋田県司法書士会の研修会で講義です。3時間の講義の予定ですので、1時間ずつ、3つのテーマをお話しするつもりです。

「破産を極める ~相談・申立の留意点、登記業務から見た留意点~」

第1講 破産制度の理念と司法書士の役割(個人のみならず、法人についても申し立ての準備について浅く触れる予定)
第2講 登記業務と否認との関係(否認の基礎的な構造を理解し、登記業務を受任する場合に注意すべき事項を解説する)
第3講 実務上の問題点(否認の登記、所有権留保自動車の引き上げと対抗要件の問題等)

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2013年3月19日 (火)

破産手続開始決定の登記

おさらいである。

法人が破産した場合は、法人の登記簿に破産の登記が嘱託される。個人が破産した場合は、不動産の登記簿に破産の登記が嘱託される。ただし、実務においては、最近は、個人破産の場合に破産の登記が嘱託されることは少なく、管財人から破産登記の嘱託をするよう上申書が提出されたような場合だけ嘱託をしているようだ。

法人の場合に不動産の登記簿に破産の登記を嘱託しないのは、法人の登記簿に破産の登記がされていれば公示として足りるという考え方のようである。

(法人の破産手続に関する登記の嘱託等)
第二百五十七条  法人である債務者について破産手続開始の決定があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を当該破産者の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する登記所に嘱託しなければならない。ただし、破産者が外国法人であるときは、外国会社にあっては日本における各代表者(日本に住所を有するものに限る。)の住所地(日本に営業所を設けた外国会社にあっては、当該各営業所の所在地)、その他の外国法人にあっては各事務所の所在地を管轄する登記所に嘱託しなければならない。
2  前項の登記には、破産管財人の氏名又は名称及び住所、破産管財人がそれぞれ単独にその職務を行うことについて第七十六条第一項ただし書の許可があったときはその旨並びに破産管財人が職務を分掌することについて同項ただし書の許可があったときはその旨及び各破産管財人が分掌する職務の内容をも登記しなければならない。

(個人の破産手続に関する登記の嘱託等)
第二百五十八条  個人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、次に掲げるときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を登記所に嘱託しなければならない。
一  当該破産者に関する登記があることを知ったとき。
二  破産財団に属する権利で登記がされたものがあることを知ったとき。

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2012年12月25日 (火)

免責された債権について支払督促の申立をすることは不法行為を構成する

東京地裁平成20年2月29日

単に、免責された債権については強制的に実現することができないとするものではなく、当該債権について支払督促の申立てをすることは著しく相当性を欠き、違法性が認められるとしたもの。当然といえば当然だろう。

「前提事実及び上記認定した事実によれば,被告は,原告らに対する各支払督促の申立てをする約3か月半前から7か月前までの間に,原告らに対する破産手続開始決定及び同廃止決定がされたことの通知を受けていたこと,原告らに対する免責許可決定は公告されていたこと,原告らに対する免責許可決定は確定していることが認められる。
 ところで,原告らに対する破産手続開始決定及び同廃止決定がされていたことを知れば,その後に原告らが免責許可の申立てをし,免責許可決定がされることも容易に予測することができ,現に,原告らに対して免責許可決定がされ,しかもそのことは公告されていたのであるから,被告は,原告らに対する免責許可決定がされたことを容易に認識し得たということができる。
(3)免責許可決定がされ,同決定が確定した後の破産者の債務は,訴えをもって履行を請求することによる強制的実現を図ることができなくなると解されるから,通常の民事訴訟手続に準ずる手続である督促手続においてもその満足を受け得ないことは明らかである。そうであるとすれば,当該債権について支払督促の申立てをすることは,法的手続によって正当な権利の実現を図るという裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠き,違法性が認められる。」

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