カテゴリー「債権譲渡登記」の記事

2012年12月13日 (木)

将来債権を譲渡担保に供した場合、譲渡目的債権は遅くとも当該債権が発生したときに譲渡担保権者に移転する

国税不服審判所平成20年3月3日

将来債権を譲渡担保に供した場合、将来債権はいつ担保取得されることになるのかを判断した事例。今後、集合債権譲渡担保の実務を行うときに参考となる判例である。

「金銭債務の担保として、既に生じ、又は将来生ずべき債権を一括して譲渡担保権者に譲渡することとする債権譲渡担保契約が譲渡担保設定者と譲渡担保権者との間で締結された場合には、債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款がない限り、譲渡担保の目的とされた債権は譲渡担保設定者から譲渡担保権者に確定的に譲渡され、譲渡担保の目的とされた将来生ずべき債権については、それが発生したときに、譲渡担保権者が譲渡担保設定者の特段の行為を要することなく当該債権を担保の目的で取得するものと解されており、譲渡目的債権の移転時期については、遅くとも当該債権が発生したときに、譲渡担保権者に移転すると解される。」

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2012年11月20日 (火)

助成金は債権譲渡の対象とすることはできるか

昨日、「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」セミナーを開催したが、講演後の質疑の中で、「助成金の譲渡を受けることができるか」という質問があった。もちろん、債権譲渡することはできるかもしれないが、譲渡禁止特約があると、善意無過失な譲受人でなければ譲渡は無効であると考えられる。

法律で定められている助成金は制度趣旨からして譲渡が禁止されているのではないか、また、独立行政法人の助成金は契約書で縛られているのではないか、と思い、直感的な意見として回答したが、帰ってから調べてみた。

まず、雇用保険法等の法律で規定している助成金については、明確な譲渡禁止の規定が見つからなかった。あるQ&Aでは、「事業者から助成金を債権譲渡したい旨の要望があった場合の考え方如何。」という問いに対し、「本助成金は、全額を福祉・介護職員の賃金にあてることを支給の要件としているものであり債権譲渡することは適当ではない。都道府県におかれては、事業者に対し、その趣旨を十分に説明し債権譲渡しないように指導されたい」というものがあった。あれ、こんなこと、法律で債権譲渡禁止にすればいいのにと思わざるを得ない。

次に、独立行政法人の助成金については、いくつかの「助成金交付規程」を見つけることができた。その中で、例えば、「助成事業者は、第6条第1項の規定に基づく交付決定によって生じる権利の全部又は一部を機構の承諾を得ずに、第三者に譲渡し、又は承継させてはならない。ただし、信用保証協会、資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第3項に規定する特定目的会社又は中小企業信用保険法施行令(昭和25年政令第350号)第1条の2に規定する金融機関に対して債権を譲渡する場合にあっては、この限りでない。」というような条文が存在していた。やはり、このような規程で債権譲渡を禁止しているようだ。

このあたり、情報をお持ちの方は教えて欲しいな~。

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2012年11月 7日 (水)

「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」セミナーの会場を広くしました!

 過日ご案内しました「債権譲渡登記を活用した売掛金回収」セミナーですが、予約していた会議室が一杯となってしまいましたので、一部の方にはご迷惑をお掛けしてしまいました。
 そこで、急遽、となりの広い部屋で開催することにいたしました。未だ席に余裕がありますので、お誘い合わせのうえお越しいただきますようご案内申し上げます。

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日時 平成24年11月19日 午後3時00分開始
     (午後2時30分受付開始)
     講演約1時間の後、個別相談を受け付けます
場所 浜松商工会議所 10階B会議室
講演 「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」 
講師 司法書士 野々垣守道(司法書士法人中央合同事務所)

参加料無料!

 予約・問合 電話053-458-1551
  司法書士法人中央合同事務所まで

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2012年10月31日 (水)

「債権譲渡登記を活用した売掛金保全セミナー」を開催します

 日時 平成24年11月19日 午後3時00分開始(午後2時30分受付開始)
     講演約1時間の後、個別相談を受け付けます
 場所 浜松商工会議所 10階A会議室
 講演 「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」 
 講師 司法書士 野々垣守道(司法書士法人中央合同事務所)
 参加料無料!

 予約・問合 電話053-458-1551 司法書士法人中央合同事務所まで

 金融円滑化法が平成25年3月で期限切れになります。金融円滑化法適用会社は中小企業の1割弱と言われており、それらの企業の行く末が注目されています。
 また、それでなくても、景気回復の兆しが見えない中、売掛金が回収不能になることを避ける方策を真剣に考える必要があります。
 売掛金保全策として真っ先に思いつくのは、不動産に抵当権を設定する方法です。しかし、抵当権は登記をした順番で優先的な効力が生じるため、既に金融機関の抵当権が設定されている場合は、土地価格の下落も相まって、回収という意味では意味をなさないおそれもあり、効果に疑問があります。
 また、連帯保証人を徴求する方法も考えられますが、状況的に、相手方社長又は社長親族しか保証人となってくれる方がいないことが想定されます。仮に、社長が保証人になったとしても、売掛先が倒産した場合には会社と一心同体の社長から回収することも困難を極めるでしょう。
 そこで注目されるのが、債権譲渡登記を活用した売掛金保全策です。債権譲渡登記制度とは、相手方が現在有する売掛金のみならず将来発生する売掛金などの金銭債権の譲渡を受ける場合に、簡便に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です(「債務者」とは、相手方の有する売掛金の債務者という意味です)。
 債権譲渡は、原則として、内容証明郵便など確定日付ある証書によって債務者に対する通知を行うか、債務者の承諾を得なければなりませんが、債権譲渡登記制度は、債権譲渡登記所に登記をすれば第三者にその旨を対抗することができます。
 一方、債権譲渡登記をしただけでは、債務者に対しては,債権譲渡の事実を主張することはできません。債務者に対しては、登記をしたことを証する登記事項証明書の交付を伴う通知をしてはじめて、債権譲渡の事実を主張することができるとされています。
 つまり、債権譲渡登記を活用することで、従来どおりの取引を続けながら、いざという時に債権回収を図ることが可能となるわけです。 当事務所は、地方都市において債権譲渡登記を扱う数少ない司法書士事務所として、みなさんといっしょに売掛金保全策を考えたいと思います。

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2012年10月26日 (金)

債権譲渡(担保)と国税の滞納処分による差押は、どこで決するのであろうか?

国税徴収法第24条第1項には、「納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの(以下「譲渡担保財産」という。)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる。」と記載されています。

また、国税徴収法第24条第8項には、「第1項の規定は、国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合又は譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合には、適用しない。」と記載されています。

 つまり、譲渡担保を原因とする債権譲渡がされた日時と、滞納処分に係る法定期限の先後関係により、優劣が決することになります。

ここでは、法定期限等について、注意が必要となり、国税徴収法第2条第10号、同法15条を参照下さい。

もっとも、債権譲渡登記の原因が売買などの真正譲渡の場合は、債権譲渡登記をした日が法定期限の到来後であっても、滞納処分による差押が第三債務者に到達した日の前であれば、債権譲渡登記が滞納処分による差押に優先します(国税徴収法第62条)。

以上のように、債権譲渡担保と債権譲渡の場合では、国税滞納処分との先後関係の基準点が異なるため注意が必要となります。

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2012年10月23日 (火)

債権譲渡登記の債務者対抗要件を備えるためには登記事項証明書の原本の交付が必要である

東京地裁平成11年9月17日判決は次のように判示した。やや長いが引用する。

「本件は、金銭債権の譲渡に係る債務者に対する譲渡通知が譲渡人からされずに、譲受人からされた事案であるところ、債権譲渡特例法においては、民法上の指名債権譲渡の場合とは異なり、債務者に対して譲渡人のみならず譲受人も通知することができるとされている。これは公の機関が発行する登記事項証明書の交付を要件とすることにより、自称譲受人による譲渡証の偽造その他による虚偽通知の弊害を防止できるからであると解されるので、右登記事項証明書の交付がその写しの交付で足りるとすると、その趣旨を達成することができなくなる恐れがある。譲渡人による通知の場合はかかる弊害はないので、登記事項証明書の写しの交付であっても、二重譲受人相互間の優劣の基準となる譲渡の登記の日時を債務者に知らせることが可能と考えられるが、写しで足りるとすれば、登記事項証明書の全部の写しが必要か一部の写しで足りるかなどの問題が生じ、債務者は債務者対抗要件の具備の有無につき困難な判断を強いられることが考えられ、債権譲渡特例法の目的である債権譲渡の円滑化・迅速化を阻害することになりかねない。以上からすれば,少なくとも譲受人からの登記事項証明書の写しの交付による債権譲渡の通知は、債権譲渡特例法二条二項の「登記事項証明書を交付して通知し」た場合に当たらないと解するのが相当である。」

つまり、譲受人からの通知の場合には登記事項証明書の写しではなく、原本の交付が必要だとしている。譲渡人からの通知については、写しでも有効と解することができるかもしれないが、通知された者が困難な判断を強いられることになるので、どうも消極に解しているようだ。

ところで、民法が定める指名債権の譲渡の対抗要件は、譲渡人からの債務者への確定日付のある証書による通知又は承諾である。
一方、債権譲渡登記の場合は、譲渡人又は譲受人が登記事項証明書を債務者に交付してする通知又は承諾である。そして、その両方の通知があった場合の優劣は、確定日付通知が債務者に到達した日時と債権譲渡の登記がされた日時との先後ということになる。

そうすると、譲渡人が倒産したような場合、登記事項証明書の交付をゆっくりしていると、先に他の譲受人が回収をしてしまうと譲渡債権の債務者が二重払いを強いられることも考えられ、法律関係が複雑になっていってしまう。

したがって、法律関係の輻輳を避けるためにも、登記事項証明書の交付は速やかに行う必要があるということになる。

民法
第四百六十七条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律
(債権の譲渡の対抗要件の特例等)
第四条  法人が債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものに限る。以下同じ。)を譲渡した場合において、当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法第四百六十七条 の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該登記の日付をもって確定日付とする。
2  前項に規定する登記(以下「債権譲渡登記」という。)がされた場合において、当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に第十一条第二項に規定する登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしたときは、当該債務者についても、前項と同様とする。

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2012年10月15日 (月)

債権譲渡登記に譲渡債権の発生年月日の始期は記録されているがその終期が記録されていない場合の効力

最高裁平成14年10月10日判決である。

「債権譲渡登記に譲渡に係る債権の発生年月日の始期は記録されているがその終期が記録されていない場合には,その債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても,他にその債権譲渡登記中に始期当日以外の日に発生した債権も譲渡の目的である旨の記録がない限り,債権の譲受人は,その債権譲渡登記をもって,始期当日以外の日に発生した債権の譲受けを債務者以外の第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。けだし,上記のような債権譲渡登記によっては,第三者は始期当日以外の日に発生した債権が譲渡されたことを認識することができず,その公示があるものとみることはできないからである。」

また、この判例は、債権譲渡登記は「売掛債権」と登記されており、報酬債権の譲渡を公示しているとはいえないとして、報酬債権については債権譲渡の対抗力を認めなかった。このように、債権譲渡登記に関しては登記された情報をどのように解釈するかという重要な問題もあるので、実務を行う者として注意したいものである。

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2012年3月29日 (木)

債権譲渡登記を受任した際のチェック事項

月末申請予定で債権譲渡登記申請の準備をしているが、当事務所で債権譲渡登記を受任するのは年に数件であるので、どうしても、申請データ作りに力を注ぐ結果、実体面のチェックがおろそかになってしまうことがある。

債権譲渡登記の添付書類は、登記委任状、資格証明書、印鑑証明書だけであり、申請データを電子データで添付すればいいので、債権譲渡契約書自体を添付することはない。しかしながら、登記原因の発生根拠である債権譲渡契約書を見なければ、債権譲渡がどういう趣旨で行われるのか、譲渡の対象となる債権は現債権だけか将来債権を含むのかなどがわからないのであるから、債権譲渡契約書のチェックは必須である。むしろ、半分ぐらいのケースでは、債権譲渡契約書の作成から依頼を受けるので、いずれにしても、これらの事項はチェックすることになる。

ところで、債権は、原則として譲渡することができるが、その性質上、または、当事者が譲渡禁止の特約をした場合は譲渡することができない。これは、民法466条2項に規定されている。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条  債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

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ご存じの方も多いと思うが、最判昭和48年7月19日は、「民法四六六条二項は債権の譲渡を禁止する特約は善意の第三者に対抗することができない旨規定し、その文言上は第三者の過失の有無を問わないかのようであるが、重大な過失は悪意と同様に取り扱うべきものであるから、譲渡禁止の特約の存在を知らずに債権を譲り受けた場合であつても、これにつき譲受人に重大な過失があるときは、悪意の譲受人と同様、譲渡によつてその債権を取得しえないものと解するのを相当とする。」

債権譲渡契約により債権の譲り受けをしようとする者は譲渡人よりも優位な立場にあるから、譲渡債権の内容について譲渡人に確認を求めることは可能である。そうすると、その調査をせずに譲渡禁止特約の存在を見過ごしてしまうのは重大な過失となるものと考えられる。せっかく債権譲渡登記ができても、実質的には何の保全にもならないものとなってしまう。

したがって、譲渡の対象となっている債権について譲渡禁止の特約がないことを確認しておく必要がある。

債権譲渡登記はたまにしか受任しない仕事なので、チェック事項をマニュアル化しておく必要がありそうだ。

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