カテゴリー「成年後見」の記事

2013年3月13日 (水)

本人の財産の引き渡し

 第三者が成年後見人に選任された場合、本人から財産を引き継ぐ必要があります。本人が入所している施設や本人の親族が通帳などの財産関係書類を持っている場合には、速やかに引き継ぎを受けるます。
 引き継ぐべきものとしては、通帳や各種証券のほか、実印なども忘れずに引き継ぐ必要があります。仮に、親族などが様々な理由で財産の引き継ぎに協力しない場合には、引き継がれない預金口座を解約したり、年金の振込先を変更するなどの強硬手段が必要になることもあります。

 なお、本人が、「手元に何もなくなるのは不安だから」などという理由で、どうしても自分の手元に財産を置いておきたいと希望する場合があります。その場合には、本人に希望に添って、本人に一定の財産の管理を任せることも検討しなければなりませんが、その場合でも、金額的には日常的に必要が範囲の金額にとどめておく必要があるでしょう。このような場合は、こまめに本人と面談して財産状況を報告するなどして信頼関係を築くべきです。

 引き継がれた財産は、家計簿ソフトなどを利用してデータ化しておくと管理しやすいと思われます。

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2013年3月12日 (火)

成年後見人に就任した場合の本人情報の収集

 第三者が成年後見人に選任された場合、本人の財産を親族がきちんと管理していたケースなどでは、多くの場合、後見申立書や家庭裁判所が作成した資料で財産の概要が判明します。しかし、本人が独居で在宅生活を送っていた場合などには必ずしも財産状況が明確ではないケースも多く見られます。もっとも、そのような場合でも、本人の意向を無視して自宅内を調査するなどはできませんから、本人との信頼関係を築きながら本人の財産にどのようなものがあるかを調査をしていかざるを得ません。

 では、どのようにして財産を発見していくかということですが、現実的には、本人宛の郵便物を確認することにより株式、定期預金、生命保険、投資信託などの財産を発見することが多いと思われます。

 しかしながら、成年後見人と雖も本人の信書を開封する権限はないと考えられています。これは、成年後見制度が本人の意思や自己決定を尊重し、ノーマライゼーションの理念のもとに成り立っているからです。そして、当然に、基本的人権の尊重として本人のプライバシーも守られなければなりません。ところが、時折、本人名義で、郵便物を成年後見人に転送させてしまうような取扱を垣間見ることがあります。しかし、成年後見制度の制度趣旨から考えると、このような行為はしてはならないことだと考えます。したがって、成年後見人の心構えとしては、本人との信頼関係を構築しながら郵便物も確認させていただくという努力をしていくことが必要であると考えます。

 一方、成年後見制度が広く認知されるとともに後見開始の届出にしたがい公的文書を成年後見人に送付する例も多くなってきています。国民健康保険証などは、成年後見開始の届出をしても成年被後見人の住所に送達するとしている取扱いもあり、その他の公的文書でもそのような取り扱いが見られます。

 成年後見人は、本人の財産状況のみならず、本人の健康状態などの心身の状態も把握しておく必要があります。本人との面接はもちろん、病院やソーシャルワーカーなどとも情報交換ををしておく必要があります。

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2013年3月 6日 (水)

後見開始の審判前の保全処分

民事訴訟、調停、破産等、様々な手続に関して保全処分の制度が定められています。家事事件についても同様で、後見開始の審判についても保全処分の申立をすることは可能です。

家事事件手続法
(審判前の保全処分)
第百五条  本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。

そして、保全処分が認められる要件は、次の3点と言われています。

①後見開始の審判の申立がされていて、未だ審判の効力が発していないこと
 この点は、民事保全が訴訟提起前でもできるのと異なります。

②後見開始の審判が認容される蓋然性が高いこと
 一般的には医師の診断書で判断することができます。

③必要性があること
 本人の財産が侵害されたりするおそれがあるなにど、早急な対応が必要であることを疎明する必要があります。

ちなみに、司法統計によると、平成23年中に処理された件数のベースで、審判前の保全処分として財産管理者選任等の申し立てがなされた件数は全国で351件、認容は約3分の2の226件、却下は12件、取下は103件、その他10件となっています。
もっとも、この件数のうち、後見・補佐・補助申立に関してなされた件数は明らかではありません。

最近は、後見等開始の審判が出るまでの期間が短縮している傾向にあることから、後見・補佐・補助申立に関してなされる財産の管理者の選任の保全処分申立は少ないのではないかと思われます。

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2013年1月24日 (木)

審判の確定

 後見開始の審判は、選任された成年後見人が審判書を受領した日から2週間が異議申立期間です。後見開始の審判に対しては、異議申立期間に、「本人は判断能力が十分あり、成年後見人の選任は必要でない」という異議申立てはできますが、「成年後見人を別の人に変更して欲しい」という異議申し立てはできません。
 そして、2週間の異議申立期間内に異議がない場合は、2週間の経過をもって審判が確定します。審判が確定すると、家庭裁判所が後見登記の嘱託を行います。

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2013年1月22日 (火)

身元引受け・身元保証

 被後見人が老人ホームに入所するような場合、身元引受人とか身元保証人を求められることが多いようです。そして、成年後見人が就任しているケースでは、成年後見人が身元引受人や身元保証人となるよう施設から求められることが多いようです。しかし、親族後見人であればともかく、第三者後見人が民法上の保証をしなければならないものではありません。
 もっとも、施設の言う「身元引受人」や「身元保証人」がどのような意味を持つものなのか、入所契約書等をよく確認する必要があると思われます。実質的には、民法上の保証ではなく、緊急時の連絡等の役割であることもあるようです。
 しかし、もしも、第三者後見人に民法上の保証責任を伴う契約を求められるのであれば、本人の財政状況を説明し、財産管理を成年後見人が行うので「身元引受人」や「身元保証人」がいなくても問題ない旨を説明して理解を求めるべきです。

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2013年1月21日 (月)

一身専属権

一身専属権は、権利を持つその人しか行使することができない権利(行使上の一身専属権)、又は、特定のその人しか持つことのできない権利(帰属上の一身専属権)をいいます。身分行為も一身専属権とされています。また、医療行為への同意も一身専属権の一種と考えられています。
 一般に、一身専属権に属する行為は成年後見人の職務ではありません。

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2013年1月17日 (木)

身分行為

 成年被後見人は、成年後見人の同意なくして身分上の法律行為をすることができる。身分行為とは、婚姻・離婚・養子縁組・離縁など、身分の取得・変動を生ずる法律行為のことをいうとされている。例えば、婚姻について、民法は次のように規定している。

(成年被後見人の婚姻)
第七百三十八条  成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

 身分行為は、本人の自由な意思に委ねるべきであり代理に親しまないから、成年後見人が本人を代理して婚姻の合意等をすることはできないとされている。逆に言えば、婚姻の合意等の身分行為は成年後見人の職務ではない。

 そして、成年後見人の同意を得ないでした身分行為の届出も本人がしなければならないことになっている。

戸籍法第三十二条  未成年者又は成年被後見人がその法定代理人の同意を得ないですることができる行為については、未成年者又は成年被後見人が、これを届け出なければならない。

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2013年1月16日 (水)

居所指定権

成年後見人には、本人の居所指定権はない。
この点、親権者や未成年後見人の権限と異なる。

(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
第八百五十七条  未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

(居所の指定)
第八百二十一条  子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

むしろ、親権者や未成年後見人の場合は、未成年者が未成熟だという特殊性があるからこそ居所指定権を認めているのであって、自己決定権の尊重を理念とする成年後見制度において、成年後見人に居所指定権を認めるのは制度としてそぐわない。

したがって、成年後見人は、本人の意思に反して病院や施設への入所を強制することはできない。

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2013年1月15日 (火)

医療行為の同意権

 成年後見人は、医療契約を本人に代わって締結する権限はあるが、具体的な医療行為の段階で、身体を傷つけたするような医的侵襲行為を受けることの同意(例えば、手術に対する同意)をする権限はない。
 そもそも医的侵襲行為を受けることの同意権は一身専属権であると考えられているから、代理してすることはできない(同意能力を有しない未成年者について親権者が同意するのは、未成年者は未成熟だという特殊性による)。

 同意なく医的侵襲行為が行われると、刑法上の傷害罪の構成要件に該当してしまう。違法性阻却事由である本人(被害者)の同意がないということになると、医師も医療行為をためらうことになってしまう。しかし、それでは、身上監護義務のある後見人の職務を全うすることができないから同意権を認めるべきだという見解もあるようだ。

 このあたりは、法整備が必要だと言われて久しいが、もしも、後見人に同意権が与えられた場合、何を基準にして同意したり拒否をすればいいのかは悩ましい問題になるだろう。

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2013年1月10日 (木)

成年後見人の心構え

成年後見人の心構えについては、「成年後見教室」(日本加除出版)の解説(9頁以降)を参考にして解説する。

(1)制度の基本理念を理解すること
① ノーマライゼーション
 ノーマライゼーションとは、障害がある人でもない人でも、共に暮らし、共に生きるという考え方。
② 自己決定の尊重
 判断能力が十分でなくてもできる限り本人の意思を尊重するという理念。
③ 残存能力の活用
 本人に少しでも能力を見いだすことができるのであれば、それを可能な限り引き出し活用すべきという考え方。

(2)最善の利益を目指すこと
 本人の利益を最大限確保しようという考え方。
 したがって、本人のためには、財産を残すよりも、むしろ積極的に使うということが求められる場合もある。ときには、周囲の者には一見愚かに見えることでも、本人にとっては価値があるというのであれば、それはそれで尊重すべき場合もあると考えるべき。愚行権を尊重するという考え方。※愚行権(ぐこうけん、 the right to do what is wrong)とは、たとえ他の人から愚かでつむじ曲りの過ちだと評価・判断される行為であっても、個人の領域に関する限り邪魔されない自由のこと。 (Wikipedia)。

(3)関係者との連携
 福祉、医療関係者、親族等と日頃から連携し、広い視野の下に様々な角度から情報をキャッチできるネットワークを構築して本人を支援していくこと

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