カテゴリー「司法書士のための破産の実務と論点」の記事

2014年9月 2日 (火)

否認の類型

 破産法は、詐害行為否認(法160条)と偏頗行為否認(法162条)の二つの類型の否認を定めている。なお、破産法161条の「相当の対価を得てした財産の処分行為の否認」は詐害行為否認の特則と位置づけられる。また、同法164条の「権利変動の対抗要件の否認」は権利変動の原因となる法律行為とは別に、対抗要件具備行為について独立して否認することができることを定めたものである。

 対抗要件具備行為を否認の対象としている趣旨は、最判昭和45年8月20日(民集24巻9号1339頁、判時606号32頁、判タ253号160頁)では次のように説明されている。

「本来、不動産の物権変動は、対抗要件を具備しない以上第三者に対抗しえないものであるから、これを具備しない不動産の物権変動はこれをもつて破産財団にその効力を及ぼしえないものである。したがつて、この要件を具備することは、破産財団の増減という観点からは、権利変動の原因たる法律行為と同様破産債権者を害する結果を生じうべきものであり、かかる要件の充足行為も、元来同法(筆者注・旧法)72条の一般規定によつて否認の対象となしうべきものである。しかし、対抗要件なるものが、すでに着手された権利変動を完成する行為であることを考えれば、原因行為そのものに否認の理由がないかぎり、できるだけこれを具備させることによつて当事者に所期の目的を達せしめるのが相当である。それゆえ、破産法は74条において、一定の要件を充たす場合にのみ、とくにこれを否認しうることとしたのである。破産法が、72条のほかにとくに74条をおいて対抗要件の否認について規定したのも、その趣旨は以上のように解せられるのである。そうであれば、一般に、破産管財人が同法72条に基づいて当該物権変動を否認し、これを原因とする登記の抹消を訴求している場合において、同人の主張および弁論の全趣旨のうちに同法74条の要件を充たす事情があらわれているならば、もし、同法72条に基づく原因行為の否認が認容されないときは、原告たる破産管財人において、さらに同法74条に基づきその対抗要件をも否認せんとするものであることは、ほとんど疑いを容れる余地がないのである」。

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2014年4月21日 (月)

「司法書士のための破産の実務と論点」発刊しました

0000000007052しばらくブログはお休みしていましたが、以前乱暴に書き綴っていた「司法書士のための破産の実務と論点」のブログを整理集約し、新たな原稿を書き綴り、ついに、民事法研究会から発刊する運びとなりました。

日司連の齋木会長から推薦文もいただくこともできました。

はしがきの抜粋を掲載します。どのような位置づけで書いたのか、ご理解いただけたらと思います。

 「破産法は倒産法制のなかでもその中心的な基本法である。近時、破産申立件数は減少傾向を見せているものの、年間約10万件という件数はバブル崩壊直後の3~4倍という高水準にあると言ってよい。これは、経済状況の変動により支払不能の状態に陥る債務者が後を絶たないことに加え、弁護士の増員や破産を取扱う司法書士が増加したことにより破産申立の担い手が広がり、破産制度が一般化してきたことによるものと言える。

 しかしながら、倒産という現象が紛争の坩堝であることは今も昔も変わらぬことであり、申立人はなるべく簡易・短期間に手続きを終結させることを望み、債権者は少しでも多くの債権回収を期待し、裁判所は手続きの公平・公正・適正の確保に腐心する。そして、それぞれの利害を破産法という法律で調整しているのである。

 こうした破産手続きに司法書士がどのように関与してきたかを振り返ってみると、今、司法書士は、第3ステージに入ったところではないかと思うのである。

 第1ステージは昭和の終わり頃から平成15年までである。この時代は、サラ金地獄に陥った多重債務者を救済するという使命感に燃えた少数の司法書士が手探りの状態で破産手続きを利用したことで始まった。そして、その輪が徐々に広がるとともに破産手続きを契機として司法書士が種々の裁判事件に取り組み始めたことが評価され、簡裁代理権の取得までこぎ着けた時代である。取り扱う破産はほとんどが消費者破産であり、受任通知による取立禁止効が認められていない中で、如何にスピーディーに申立てをするかが課題となった時代である。

 第2ステージは平成15年の改正司法書士法施行から10年間である。司法書士が簡裁代理権を取得し、それまで司法書士の弱点であった債権調査(利息制限法引直し)を徹底して行うようになったため、以前に比べ適正な手続き選択がなされるようになったが、破産申立までに時間がかかることに加え、裁判所のチェックも詳細に行われるようになった。もっとも、各裁判所で申立書式も備え付けられているため、マニュアルにしたがって申立てをすることが可能となった。しかし、過払い事件の終焉とともにクレジット・サラ金の多重債務による破産申立ても減少した。

 そして、幕の開いたばかりの第3ステージは、減少した消費者破産に代わって司法書士が事業者や小規模な法人破産を取り扱う機会が増加することが予想される。そして、そのような場面で、破産法の知識や破産に対する対応力が問われる時代になるだろう。さらに、司法書士が破産に取り組むことが一般化することにより、実際には破産申立てを手がけない司法書士に対しても、不動産登記や債権譲渡登記等の実務の中で破産債権の優劣や否認権に関する問題についてアドバイスを求められることも増えるであろう。

 本書は、このような問題意識にもとづいて、第3ステージに対応するために、破産申立のみならず、破産手続き全体について司法書士として知っておきたい知識について、判例を中心に紹介と解説を試みた。もちろん、筆者は破産管財人の経験はなく、満足な解説のできないところも多数あるので、是非、読者の方々のご意見や経験を寄せていただきたい。」

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2013年7月11日 (木)

他の手続の失効 3

最高裁平成13年12月13日(最高裁判所民事判例集55巻7号1546頁、裁判所時報1305号4頁、判例時報1773号26頁等)
担保提供による強制執行の停止並びに債権の差押及び転付命令の取り消し裁判がされた後、担保提供者が破産宣告を受けたため、その管財人である抗告人が、担保事由が消滅したと主張し、担保取消しを求めた事案で、本件仮執行宣言付判決に係る相手方らの破産債権は、債権調査期日において破産管財人及び破産債権者並びに債務者の異議なく確定し、確定債権について債権表に記載され、債権表の記載は勝訴の確定判決と同一の効力を有するのであるから、本件仮執行宣言付判決の結論は是認され、担保提供者の敗訴判決が確定した場合と同視することができるから、本件強制執行停止及び執行取消のため立てた本件担保の事由が消滅したということはできないとして、抗告を棄却した事例。
「破産法70条1項本文は,破産債権に基づき破産財団に属する財産に対してされた強制執行等は破産財団に対してはその効力を失う旨を規定するところ,破産宣告当時既に強制執行が終了している場合は、同項本文の適用はないから,既に終了した強制執行は,破産宣告により効力を失うことはない。仮執行宣言は,その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより,変更の限度においてその効力を失うものではあるが(民訴法260条1項),仮執行宣言付判決に基づく強制執行(以下「仮執行」という。)は,終局的満足の段階にまで至る点において確定判決に基づく強制執行と異なるところはないから,破産宣告当時既に終了している仮執行は,破産宣告により効力を失うことはないと解すべきである。
 そうすると,仮執行宣言付判決に係る事件が上訴審に係属中に債務者が破産宣告を受けた場合において,仮執行が破産宣告当時いまだ終了していないときは,破産法70条1項本文により仮執行はその効力を失い,債権者は破産手続においてのみ債権を行使すべきことになるが,他方,仮執行が破産宣告当時既に終了していれば,破産宣告によってその効力が失われることはない。よって,仮執行宣言付判決に対して上訴に伴う強制執行の停止又は既にした執行処分の取消し(以下「強制執行停止等」という。)がされた後,債務者が破産宣告を受けた場合には,その強制執行停止等がされなかったとしても仮執行が破産宣告時までに終了していなかったとの事情がない限り,債権者は,強制執行停止等により損害を被る可能性がある。 
 したがって,仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い担保を立てさせて強制執行停止等がされた場合において,担保提供者が破産宣告を受けたとしても,その一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできないと解するのが相当である。」

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2013年7月10日 (水)

他の手続の失効 2

最高裁平成14年4月26日決定
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止のために担保が立てられた場合における債務者に対する破産宣告と担保の事由の消滅
裁判所時報1315号1頁、判例時報1790号111頁、判例タイムズ1097号274頁、金融・商事判例1152号3頁、最高裁判所裁判集民事206号401頁等
「仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い強制執行の停止がされた後,債務者が破産宣告を受けた場合に,債権者は,強制執行の停止がされなかったとしても仮執行が破産宣告時までに終了していなかったという事情がない限り,強制執行の停止により損害を被る可能性があるから,債務者が破産宣告を受けたという一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできないと解するのが相当である(最高裁平成13年(許)第21号同年12月13日第一小法廷決定・民集55巻7号1546頁)。そして,債権者は,上記損害の賠償請求権に関し,強制執行の停止の担保として供託された金銭について,他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する(民訴法400条2項,77条)ことは,債務者が破産宣告を受けたことによって変わるところはない。」

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2013年7月 9日 (火)

他の手続の失効 1

 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行又は企業担保権の実行で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない(法42①)。
また、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続で、既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、強制執行又は一般の先取特権の実行の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない(法42②)。
このほか、破産手続開始の決定があったときは、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続(民事執行法第196条)の申立てはすることができず、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続はその効力を失う(法42⑥)。

東京高裁平成21年1月8日(金融法務事情1868号59頁、判例タイムズ1302号290頁)
破産手続開始決定がされた場合に、当然に債権差押命令を取り消すべきであるとはいえないものの、破産管財人が執行手続の取消しを上申した場合に限っては、債権差押命令の取消しによる差押債権者の不利益が限りなく小さいのに比べ、その取消しの必要性が事実上のものであるとはいえ存在することにかんがみ、債権差押命令を取り消すという原審の取扱いも是認し得るものと解される等として、抗告を棄却した事例。
「債務者に対して破産手続開始決定がされ、その結果、抗告人の債務者に対する上記請求債権は破産債権となり、債務者の第三債務者に対する敷金返還請求権は破産財団に属する財産となったから、破産法42条2項により、本件差押命令は破産財団に対して効力を失ったものであるが,これは、破産財団に対してのみ、その効力を失うに止まり、絶対的に無効となるものではなく、破産手続開始決定が取り消されたり、破産手続が廃止されるなどして、破産財団が消滅した場合には、その効力を当然に回復するものと解され、同項ただし書きは、破産管財人が、強制執行を続行することを妨げないとして、破産財団に対して無効となった強制執行手続を回復して続行することを予定しているものといえる。また、民事執行法上、破産手続開始決定がされた場合に、強制執行等の手続を取消し得る旨の明文の規定は存在していないことに照らせば、破産手続開始決定がされたことにより、既に発令されている債権差押命令を当然に取り消すべきであるとはいえず、民事執行法40条の適用はないと解される。
 他方、破産手続開始決定がされた場合に、形式的には強制執行手続と破産手続とが併存していることから、特に、債権差押命令では第三債務者において権利関係が必ずしも簡明であるとは言い難く、破産管財人が差押債権を自由に処分することができるとはいえ、その権利行使に事実上の障害があることは容易に推測されるところであり、その執行手続の取消しに対する事実上の必要性があることは否定できない。 
 また、破産管財人が、執行裁判所に対し債権差押命令について執行手続の取消しを上申するのは、当該破産手続が廃止あるいは取消しなどにより終了する可能性はなく、かつ、強制執行手続の続行も必要ではないと判断した上、差押債権につき換価あるいは取立てなどの具体的な処分をすることを予定している場合であると考えられる。破産手続開始決定がされたことにより、債権差押命令を取り消すとすれば、差押債権者は、破産手続が廃止されるなどして破産財団が消滅した場合に効力を回復し得たはずの強制執行手続がなくなるため、再度の強制執行の申立てをしなければならない不利益を被ることになるが、破産管財人が執行手続の取消しを上申するのは、上記のとおり、破産財団が消滅して強制執行手続の効力が回復することがほとんど想定し得ない場合に限られるから、差押債権者が不利益を被る可能性もまた限りなく小さいものといえる。
 したがって、破産手続開始決定がされた場合に、当然に債権差押命令を取り消すべきであるとはいえないものの、破産管財人が執行手続の取消しを上申した場合に限っては、債権差押命令の取消しによる差押債権者の不利益が限りなく小さいのに比べ、その取消しの必要性が事実上のものであるとはいえ存在することにかんがみ、債権差押命令を取り消すという原審の取扱いも是認し得るものと解される。」

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2013年7月 3日 (水)

破産者の重要財産開示義務

破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならないとされている(法41)。しかし、自己破産の場合には、申立書類において既に財産目録が提出されているのであらためて財産目録を提出させることはなく、申立書に記載された財産以外に財産が発見された場合に、その都度報告するという取り扱いがなされている(破産法実務(福岡)15頁)

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2013年7月 2日 (火)

破産者等の説明義務

破産者、破産者の代理人、破産者が法人である場合のその理事・取締役・執行役・監事・監査役・清算人又はこれらに準ずる者、破産者の従業者(破産者の代理人を除く。)は、債権者委員会(法144②)の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、破産者の従業者(破産者の代理人を除く。)については、裁判所の許可がある場合に限る(法40①)。 そして、この規定は、破産者の代理人、破産者が法人である場合のその理事・取締役・執行役・監事・監査役・清算人又はこれらに準ずる者、破産者の従業者(破産者の代理人を除く。)であった者に準用されている(法40②)。
 したがって、弁護士である申立代理人は、法40条1項2号に規定される「破産者の代理人」として直接的に説明義務が規定されてるのみならず、依頼者である破産者の利益を擁護する立場からして、事件の終局に至るまで破産手続に協力することが求められており、 破産者が説明義務、重要財産開示義務、免責についての調査協力義務を怠るようなことがある場合には、そのことによって破産者に不利益が生じないよう破産者を指導監督するなどして適切な措置を講じることが求められているといえる(管財手引 17頁)。
 一方、司法書士が自己破産の申立書類作成を行う場合には、法40条1項1号に規定される「破産者」の説明義務の履行を書類作成を通じて支援するという役割を行うことになるが、依頼者である破産者の利益を擁護するという役割においては弁護士と変わるところはない。
 なお、東京地裁においては、破産者に対し、別紙のような注意事項が配布されている。

破産者に対する注意事項(法人の役員等の方へ)
1 このたび,裁判所が選んだ「破産管財人」という立場の弁護士が,破産した法人の財産を処分してお金に換え,債権者に対する配当等を行ったり,借金をした状況等を調査したりすることになりました(あなた自身が破産している場合は,あなたの財産や借金の状況,生活の状況等についても同じです。)。
あなたには,破産管財人に対し財産や借金の状況等の破産に関する事情を説明する義務があります(破産法40条)。破産管財人から求められた説明を拒んだり,うその説明をしたときは,処罰されることがあります(破産法268条)。
また,あなた自身が破産している場合は,免責の許可(借金等を支払う責任を免除する決定)がされないこともあります(破産法252条1項11号)から,注意してください。
破産した法人に関しては,その代表者のみならず,取締役,理事,その他これに準じる立場の者についても同様に,破産管財人から求められた説明を拒んだりうその説明をしたときは,処罰されることがあります(破産法268条)。
2 破産した者が持っている財産を隠したり,壊したり,他の者に譲り渡す等の処分をしてはいけません。また,帳簿や書類などを隠したり,偽造したり,書き換えたりしてはいけません。さらに,破産した者が持っている財産のうち破産管財人が引き渡すよう指示したものは,全て破産管財人に引き渡さなければなりません。これらに違反すると,処罰されたり(破産法265条,270条), あなた自身について免責が許可されないことがあります(破産法252条1項1号,6号)から,注意してください。
3 あなたが破産手続の進行中に,引越しをしたり,旅行等をする場合,事前に申立代理人を通じて破産管財人に連絡し,その同意を得てください。また,あなた自身が破産をしている場合に,引越しをしたときは,①引越しについて破産管財人から同意を得たことと,②新しい住所を記載した書面を作成し,新しい住民票(本籍地も記載されたもの)とともに,中立代理人を通じて,速やかに裁判所に提出しなければなりません。
同意を得ないで引越しや旅行等をすると,あなた自身について免責が許可されないことがあります(破産法252条1項11号,37条1項)から,注意してください。
4 あなたには,債権者集会に出頭する義務があります。病気等の正当な理由がないにもかかわらず債権者集会に出頭しなかった場合,免責が許可されないことがあります(破産法252条1項11号)。
5 破産手続を開始する決定と同時に,破産した者にあてた郵便物を破産管財人に転送するよう,郵便事業株式会社に対して裁判所から依頼しました。転送された郵便物は,破産管財人が封を開けて,その内容を調査します(破産法81条,82条)。破産管財人の業務に関係のない郵便物は,後日返却されますが,あなた自身が急いで受け取る必要があるものについては,あらかじめ破産管財人に連絡しておいてください。
平成 00 年 0 月 0 日
東京地方裁判所民事第20部
(管財手引 430頁)

破産者に対する注意事項(個人の破産者の方へ)
1 このたび,裁判所が選んだ破産管財人という立場の弁護士が,あなたの財産を処分してお金に換え,債権者に対する配当等を行ったり,借金をした状況や生活の状況等を調査したりすることになりました。
あなたには,破産管財人に対し,財産や借金の状況等の破産に関する事情を説明する義務があります(破産法40条)。破産管財人から求められた説明を拒んだり,うその説明をしたときは,処罰されることがあります(破産法268条)。
また,免責の許可(借金等を支払う責任を免除する決定) がされないこともあります(破産法252条1項11号) から,注意してください。
2 あなたが持っている財産を隠したり,壊したり,他の者に譲り渡してほいけません。また,帳簿や書類などを隠したり,偽造したり、書き換えたりしてもいけません。さらに、あなたが持っている財産のうち破産管財人が引き渡すよう指示したものは,全て破産管財人に引き渡さなければなりません。これらに違反すると,処罰されたり(破産法265条,270条),免責が許可されないことがあります(破産法252条1項1号,6号)から,注意してください。
3 破産手続の進行中に,引越しをしたり,旅行等をする場合,事前に申立代理人を通じて破産管財人に連絡し,その同意を得てください。また,引越しをするときは,①引越しについて破産管財人から同意を得たことと,②新しい住所を記載した書面を作成し,新しい住民票(本籍地も記載されたもの) とともに,申立代理人を通じて,速やかに裁判所に提出しなければなりません。同意を得ないで引越しや旅行等をすると,免責が許可されないことがあります(破産法252条1項11号,37条1項)から,注意してください。
4 あなたには,債権者集会に出頭する義務があります。病気等の正当な理由がないにもかかわらず債権者集会に出頭しなかった場合,免責が許可されないことがあります(破産法252条1項11号)。
5 破産手続を開始する決定と同時に,あなたにあてた郵便物を破産管財人に転送するよう,郵便事業株式会社に対して裁判所から依頼しました。転送された郵便物は,破産管財人が封を開けて,その内容を調査します(破産法81条,82条)。
破産管財人の業務に関係のない郵便物は,後日返却されますが,あなた自身が急いで受け取る必要がある郵便物がある場合には,あらかじめ破産管財人に連絡しておいてください。
平成O年0月0日
東京地方裁判所民事第20部
(管財手引 431頁)

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2013年7月 1日 (月)

破産者の居住に係る制限

破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない(法37①)。なお、居住地を離れることの許可申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる(法37②)。
 なお、「居住地を離れる」とは2泊以上の宿泊を含む旅行や出張もこれに当たり、海外については1泊でもこれに当たると解されている(「条解 破産」304頁、管財手引 126頁)。
 破産管財人が 同意をすべきかどうかは、管財業務の支障の有無で判断することになり、管財業務に支障がないと判断できれば、同意をして差し支えないと考えられている(管財手引 127頁)が、破産者が海外に行くことは、管財業務に支障を来すのが通例である上、債権者集会や免責審尋期日への出頭も困難となるから、破産管財人としては、これに同意するかどうかについて慎重に対応し、必要に応じて 裁判所と協議することが求められている(管財手引 128頁)。

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2013年6月28日 (金)

破産者の事業の継続

 破産手続開始の決定がされた後であっても、破産管財人は、裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる(法36)。
 清算型の倒産手続である破産手続では、破産手続が開始されれば事業は廃止となるのが原則であり、事業の継続は、破産財団を有利に換価するための手段として一定の制約の下に認められる例外的な措置である。しかしながら、個人事業者の場合、事業継続を前提とした破産処理もあり得る(到達点と課題20頁)。
 なお、保険業法には、保険募集人である「個人」について、破産手続開始決定がされた場合に、その旨の届出をしなければならない旨の規定はなく、破産手続開始決定により、当然に保険募集人の登録が失効することもない(到達点と課題45頁)。したがって、保険募集人については、破産した場合の資格制限を心配する必要はほとんどないとも考えられる(到達点と課題45頁)。

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2013年6月27日 (木)

自由財産拡張申立却下決定に対する即時抗告が棄却された事例

福岡高判平成18年5月18日(判例タイムズ1223号298頁)
「破産者の生活の維持等は,原則的には法定自由財産をもって図られるべきであって,自由財産の範囲の拡張には相応の慎重な態度で臨まなければならないものというべきである。」
「抗告人は,少なくとも破産手続開始申立ての時点では,法34条3項1号所定の現金を法定額の満額(すなわち,標準的な世帯の3か月間の必要生計費に相当することとなる。民事執行法131条3号参照。)所持していたものであるところ,平成17年11月以降は雇用保険金の受給も開始したというのであるから,相応の生計費が既に確保されているものといってよい。他方,上記家族構成からして,抗告人において,標準的な世帯に比して過大な生計費の負担を迫られるものとは到底いえないし,抗告人の就労可能性もないとはいえない。」

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